第4回福島県障がい者芸術作品展 「きになる⇆ひょうげん 2020」
2020年11月21日 - 2021年1月17日
この展覧会は終了しました
開館時間:10:00〜18:00
(11/21(土)、12/19(土)、1/16(土)は16時閉館)
休館日:火曜日、12/29〜1/5年末年始休館
会場:はじまりの美術館(福島県耶麻郡猪苗代町新町4873)
観覧料:無料
主催:福島県
このたび福島県は、第4回福島県障がい者芸術作品展「きになる⇆ひょうげん2020」を開催いたします。
本展では「きになる」をひとつの基準に、福島県内から作品を募集しました。「きになる」と「ひょうげん」のあいだにある「⇆」は、作る人、支える人、見つける人など、さまざまな関係性を表しています。過去3回の開催を通して、「形にならない表現行為」による応募も見られ、少しずつ「きになる」視点が広がっているようにも感じます。
障がいのあるなしにかかわらず、私たちはなにかきになった物事にこだわることがあります。そんなこだわりから生まれる表現は、見る人にも何かを感じさせる力があると思います。
この作品展に来ていただいた皆さまにも、「どうしてこの表現が生まれたんだろう」「作者は何が気になったんだろう」「とにかくなんだか気になる」など、きになる表現を見つけていただければ幸いです。
そして本展を通して、作者のことや目の前にある表現にきになることが、「障がい」について考え、理解や考えを深める場になることを願います。
※来場にあたってはマスクの着用や手指の消毒を徹底していただくとともに、発熱や風邪症状等、体の具合が悪い方は入場をご遠慮いただくなど、新型コロナウイルス感染拡大防止対策に御協力をお願いします。
展示風景紹介動画
映像撮影・編集:白圡亮次
[イベント]
1、ギャラリートーク
2、オープニングトークイベント「表現のまわりに目を向ける」[オンライン開催]
日時:2020年11月21日(土)17:00〜19:00
ゲスト:坂野健一郎(新潟県アール・ブリュット・サポート・センターNASC)、武田和恵(やまがたアートサポートセンターら・ら・ら)
進行:小林竜也(はじまりの美術館)
新潟県、山形県、福島県の3県は連携して障がいのある方の芸術活動の推進を行なっています。各県それぞれ視点の異なる公募展を開催しており、それぞれの話から障がいのある方の表現について考えていきたいと思います。
3、トークイベント「きになるものの伝え方、届け方」[オンライン開催]
日時:2020年12月19日(土)17:00〜19:00
ゲスト:高木市之助(デザイナー)、佐藤洋美(本展デザイナー)
進行:小林竜也(はじまりの美術館)
いわき市地域包括ケア推進課による社会包摂に関わる様々なプロジェクトのデザインを行う「igoku」。 そのアートディレクターである高木市之助さんと、第一回から本作品展のグラフィックデザインを担当する佐藤洋美さんをお招きし、伝え、届けるためのデザインの役割についてお話いただきます。
※1月17日までアーカイブ動画を公開しております。
4、審査員トークイベント [オンライン開催]
日時:2021年1月16日(土)17:00〜19:00
登壇者:日比野克彦、川延安直、川内有緒
進行:岡部兼芳
審査員4名の方々に今回の応募作品のエピソードや受賞作品、各審査員賞の作品について、どこがきになったのかなど審査講評を交えてお話いただきます。
5、表彰式、受賞者トーク
日時:2021年1月17日(日)11:00〜12:00 (延期)
表彰式および受賞者のみなさまから作品についてお話を伺います。
※新型コロナウイルス感染症拡大のため延期となりました。
[受賞作品について]
★福島県知事賞★

「紙丸め」
竹本 翔太(たけもと しょうた)
31歳(会津若松市)
【評価コメント】
ちっちゃなツブツブが、魚卵のような物が、このケースいっぱいに詰まっている。これは牛乳パックなどを溶かして紙を作るとき、きっとしっとりした状態のものを丸めたもの。作者の竹本さんは、それが癖というか、好きというか、止まらないのだろう。 何年もかかって作ったものがここに溜まってる。表現には、何か目的があって作りたいとか、これを描きたいとか、あの人にあげたいなど動機があったりするが、この作品にはもっと根源的で目的があるのではなく、日常の積み重ねが、とんでもない量の紙丸めになっている。 この「きになる⇆ひょうげん」の作品の多くは、周りで見守る人たちとの共同によって、ここの会場に出品されてるものが多いがまさにこれもそうである。不思議な今までにないタイプの作品。
★きになる⇆ひょうげん賞★

「Bです」
近内 辰徳(こんない たつのり)
28歳(本宮市)
【評価コメント】
この作品は玄関先にある黒板に作者の近内さんが毎日毎日描いたものを、彼を送迎に来る人たちが写真に撮ったもの。 妹からチョークをもらったのがきっかけで描きはじめたそうだ。そのチョークも真ん中の指で持つところがくびれた不思議な形をしている。字もすごく個性のある字で安定感がある。けれども内容は安定していないのか、 不思議なテキストがいっぱいである。名前、山火事、またダンゴムシが必ず黒板のところに書かれている。「Bです」という作品タイトルにあるように、アルファベットのBがあちらこちらに登場してくる。職員さんが毎朝写真を撮ってくれるっていうのもきっと何かやりがいになっているのだろう。本当に気になる表現である。
★審査員賞・日比野克彦賞★

「Who?」「相棒」
森 陽香(もり はるか)
32歳(郡山市)
【評価コメント】
ファイルに入った絵の作品「Who?」と「相棒」というタイトルのシート、今回この2つの応募作品をあわせて審査員賞(日比野克彦賞)選ばせていただた。作品だけでなく、施設の人からしてみれば、毎日毎日彼女がシートの上で描いてはみ出した部分も、彼女の表現として捉えるという。その眼差しがとても素敵だなと思いました。森さんは足で絵を描く方で、 シートの上の雑巾は足を拭くための雑巾。これも今回出品していただいた。物を生み出す、それもきっとなかなか自由に思い通りに動かない足を伸ばし、この上で自分の中にある世界感をアウトプットしていこうというその時間の流れ。その様子も含めて、とても気になる表現である。
★審査員賞・川延安直賞★

「いのしし」
佐々木 颯太(ささき そうた)
9歳(西郷村)
【評価コメント】
この作品は、 小さい作品だがすごい密度である。色のついてるところは、小さな紙を切って、モザイクのようにしてある。 使ってる紙も、それぞれのパートで分かれていて、そこが遠くから見るとうまく色が混ざり合い、ソフトな作品に見えるようになっている。 真ん中にいる動物がイノシシということだが、毛並みの表現がとても面白い。 紙を切り抜いて、その穴から背景を見せることで毛並みを表現する。 作者の佐々木さんは9歳ということだが、この年で自分独自の表現技法を掴んでしまっている。いったい彼はこれをどこで気がついたんだろうと、とても気になる。 丹精込めて描かれているのを感じ、きっとこれを描いてる姿も彼の情熱のようなものが感じらるのではないかと想像しながら選んだ。
★審査員賞・岡部兼芳賞★

「虫」寺島 歩(てらしま あゆむ)12歳(郡山市)
「オオムラサキ」寺島 輝(てらしま ひかる)8歳(郡山市)
【評価コメント】
兄の歩さん作の「虫」と、弟の輝さん作の「オオムラサキ」。 まず気になったのは、兄の歩さんの作品。虫や恐竜が好きという男の子はいっぱいいると思う。そのなかでも、彼の作品が気になったのは、虫の構造や、体の作りをすごく正確に見ているという点。触角の付き方、足の付き方はもちろん、羽が開き、内羽根もきちんと折り畳まれていたりと、忠実に再現されている。今にも飛び立っていきそうな感じと、重量感もあり、その虫が好きという感情が溢れている。 弟の輝さんも兄の影響を受け、キュートなオオムラサキの作品を作っている。兄弟で影響し合って、一緒に力を高め合い、楽しみながら作品がより豊かになっていくような姿が目に浮かぶ作品。
★審査員賞・川内有緒賞★

「僕の時間」
鈴木 晴翔(すずき はると)
11歳(西会津町)
【評価コメント】
この作品は、 毎日出される宿題の裏側に作品が描かれていて、日常と作品が一体になっている感じがすごく面白い。 例えば国語の宿題を見ると、彼が一生懸命勉強しているのが伝わってくる。そして、一生懸命勉強した後に、伸び伸びと今度は自分が描きたいものを描いて表現している。この作品の面白さは、それが毎日毎日積み重なっていて、結構膨大な量がある点。この紙はもともと宿題のプリントになる運命だったが、彼の力によって一転して作品に変わってしまう。紙の運命が変わっていく面白さ。また、苦しいことの後にやる楽しみ方、そういうものも教えてくれる。自由な時間だけだったら、楽しくないかもしれない。漫画自体ものびのびした線で、自分が書きたいように、その日思い付いたまま手が動いてるような感じあり、読んでるとワクワクした。
受賞者・特選者・入選者一覧は下記よりPDFデータをダウンロードいただけます。
第4回 福島県障がい者芸術作品展「きになる⇆ひょうげん2020」受賞者一覧
[オーディエンス賞について]
今回もご来場いただいた方の投票でオーディエンス賞が決まります。会場に投票のための「きになる木」を設置しますので、あなたがきになった作品を葉っぱに書いて投票してください!
※会期終了後、商店等の方にお店に飾りたい作品を選んでいただき展示をおこなう「まちなか美術館」に関連した取り組みを実施予定です。
[審査員紹介]

日比野克彦(美術家・東京藝術大学美術学部長)
1958年岐阜県生まれ。東京芸術大学大学院修了。大学在学中にダンボール作品で注目を浴び、国内外で個展・グループ展を多数開催する他、パブリックアート・舞台美術など、多岐にわたる分野で活動中。近年はオリンピックパラリンピック東京大会に向けたリーディングプロジェクト「TURN」の監修者を務める。

川延安直(福島県立博物館 副館長(兼)学芸課長)
1961年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術学修士修了。岡山県立美術館を経て、現在福島県立博物館副館長(兼)学芸課長。「福島芸術計画×ART SUPPORT TOHOKU-TOKYO」や「ライフミュージアムネットワーク」など、福島県内のさまざまな文化発信活動に携わっている。

岡部兼芳(社会福祉法人安積愛育園 はじまりの美術館館長)
1974年福島県生まれ。共同作業所支援員、中学校教員を経て、2003年社会福祉法人安積愛育園入社。障害者支援施設にて生活支援員として働く中で、知的に障害のある利用者の表現活動をサポートする「unico(ウーニコ)」に携わる。2014年6月より現職。

ゲスト審査員:
川内有緒(ノンフィクション作家)
生まれ変わったら冒険家になりたいと願うノンフィクション作家。アメリカ、フランス、日本を転々としながら12年間国際協力分野で働いた後に、フリーランスの物書きに。東京を拠点に評伝、旅行記、エッセイなどを執筆し、著作に『パリでメシを食う。』『空をゆく巨人』ほか。
本事業に関するお問い合わせ:
社会福祉法人安積愛育園 はじまりの美術館
〒969-3122 福島県耶麻郡猪苗代町新町4873
TEL/FAX:0242-62-3454
E-mail:otoiawase@hajimari-ac.com
きになる⇆ひょうげん公式ホームページ
http://kininaru-hyogen.info/