第9回福島県障がい者芸術作品展「きになる⇆ひょうげん2025」
2025年11月22日 - 2026年1月18日
※火曜休館、12月29日(月)〜1月2日(金)年末年始休館
開館時間:10:00〜18:00(最終日1月18日は16:00閉館)
会場:はじまりの美術館(福島県耶麻郡猪苗代町新町4873)
観覧料:無料
主催:福島県
このたび福島県では、第9回福島県障がい者芸術作品展「きになる⇆ひょうげん2025」を開催いたします。
本公募展は今年で9回目を迎えました。本公募展は、「きになる」をひとつの基準に実施しております。タイトルの「きになる」と「ひょうげん」のあいだにある「⇆」は、作る人、支える人、見つける人など、さまざまな関係性を表しています。作者の方の「きになる」から生まれたもの、そしてそれを見てきになった、ご家族や学校の先生、福祉施設の方など。そんなさまざまな「きになる」の矢印がつながり集まりました。
「きになる」という気持ちはそのときどきで変わるものかもしれませんが、そのときのきになった気持ちが込められた表現には、見る人にもなにかきになってしまう力があると思います。皆さまにも、本展を通してきになる何かを見つけていただければ幸いです。
そして「きになる」ということから、作者のことや作品が生まれたきっかけを想像し、「障がい」について改めて考え、誰かと共有できる場になることを願います。
※新潟・福島・山形の3県は障がい者芸術活動推進に向けて連携して活動しております。本展でも新潟、山形で生まれた"きになる"作品を紹介いたします。
今回は469人(共同制作含む)の方から、576点の作品をご応募いただきました。
全ての作品の展示を行なっております。
第9回福島県障がい者芸術作品展 「きになる⇆ひょうげん 2025」審査結果
福島県知事賞

《ダンス》
zuoruren(ゾウロレン)
45歳(中通り在住)
【審査員コメント】
「きになる⇆ひょうげん2025」の「福島県知事賞」は、zuorurenさんの《ダンス》という作品です。水墨画のドローイングで、ダンサーの体の動きを描いてるスケッチです。スケッチブックのページの両面に、zuorurenさんが描いたドローイングが貼られています。濃淡やにじみが、ダンサーの動きを的確に捉えていて、パッと見たときに、まず「うまいな」と感じました。zuorurenさんは、実際にこのダンサーの舞台をライブで見て、心を打たれ、それを後から映像や写真で見返して、そのときの感動を描いたそうです。実際のダンスや動画を見て描いているので、静止画だけを見て描く線とはやっぱり違います。きっと照明や音も感じながら、そのときの感動を描いています。
なんといっても、このスケッチブックに作品を貼っていったという行為には、きっとここに時間軸があるんだと思います。ダンサーが舞台に出てきて、天を向いて動いて、その後、自分の手元を見たりして。片足で大地に立ったり、表情がきになったり。この「時間軸」が彼女の中で、すごく大切だったのだと思います。これを表すために、スケッチブックに貼ったからこそ、私もめくって、作品を見ることができます。ページをめくることで、このクロッキーが一体になっています。この画量も素晴らしいけれども、それをのりでペタペタと貼っていくその勢いが、「あの時に感じたものを伝えたい」という強い思いを感じます。ぜひこれからも、「きになる⇆ひょうげん」に参加してください。
きになる⇆ひょうげん賞

《さかな その2(ギンブナ)》
安斎 純(あんざい じゅん)
45歳(福島市在住)
【審査員コメント】
「きになる⇆ひょうげん2025」の「きになる⇆ひょうげん賞」は、安斎 純さんの《さかな その2(ギンブナ)》という作品です。既成の白いシャツの背中に刺繍をした作品です。ギンブナのうろこ一個一個が、刺繍で表現されています。作品を遠目から見ると、この魚たちも洋服を着ているようにも見えます。魚というものと、シャツという機能的なものを組み合わせているところが、今回の応募作品の中でもすごく目立っていました。真っ白い紙に絵を描くのとは異なり、既に機能している日常の中にあるものに手を加えて、自分のカラーにしていくという手法があると思います。これまでの「きになる⇆ひょうげん」展の中でも、既成のシャツに何か自分の好きなものをこつこつと縫っていくという表現は、あまり見かけませんでした。
そして、安斎さんは第1回目の「きになる⇆ひょうげん」展のときには福島県知事賞を受賞しています。受賞後も、時々応募いただいている常連さんの一人でもあります。安斎さん以外にも、複数回、この「きになる⇆ひょうげん」展に応募してくれている人たちがいると思います。「あ、この人、またこういう形でずっとやり続けてるんだな」っていうものもあれば、「え、この人そうだったの。」っていう変化もあります。安斎さんの作品も、同じ糸を扱っているとはいえ、続けることによって、全く違う表現方法になっています。一人一人の9年間の軌跡や生い立ちも、きになるところがあります。
審査員賞・日比野克彦賞

《ロックンロールガーランド》
佐藤 将希(さとう まさき)
15歳(いわき市在住)
【審査員コメント】
今回の審査員賞・日比野克彦賞は佐藤将希さんの《ロックンロール・ガーランド》です。毎年、段ボールで作っている作品の応募が複数あるのですが、この作品は裏表もしっかり塗ってあり、この厚みを切ってエレキギターの形を出すのは、きちんとサイズを合わせて作らないとできません。なかなかこだわって、好きで作っているんだなということと、制作中の作者の頭の中の「ギターを弾きたいな」という思いがとてもよく伝わってきます。応募用紙にも、「友達とバンドを組むという夢がある」と書いていて、いいなと思いました。
一番きになるのは、ぶら下げてガーランド状にしているところです。空中でぶらぶら動きながら、みんなが一緒になって奏でている感じが伝わります。1個1個の、ものの作り方もとても素敵ですが、6本のエレキギターがこうやってみんなでバンドを組んでいる。そんな感じがとても素敵でした。
審査員賞・川延安直賞

《103号室のこもれび》
松本 秀勝(まつもと ひでかつ)
70歳(福島市在住)
【審査員コメント】
今回の審査員賞・川延安直賞は松本秀勝さんの《103号室のこもれび》にしました。今回は映像作品にとても惹かれました。作品の解説の文章も松本さんから「このイーゼルに立てて映像の側に並べてください」という指示がありました。この文章もとても良くて、「この世はみな、偶然の世界なのかもしれません。」というふうに結ばれています。確かに考えてみると、毎日毎日生きていくということは、偶然に次々起こってくることを、自分の中で「それが必然だった」というふうに整理して、みんな生きているんじゃないかなと思います。本当に偶然なのか、と思わせるぐらい、この松本さんの作品がしっくりと私には見えてしまいました。
この音楽も素晴らしいし、こもれび自体も美しいのですが、そのこもれびを追いかける松本さんの目というか、気持ちみたいなものも何か共感できる気がしました。そして、映像の最後に何かのアラームが鳴るんですね。そこまで含めて、こんなに大変よくできた偶然というものが世の中には生まれるんだと思いました。こういう偶然を探せる目を、また持って、日々生きていきたいなと思わせてくれる作品でした。
審査員賞・川内有緒賞

《マイドリーム・マイライフ》
福島県立あぶくま支援学校 中学部3学年
14〜15歳(郡山市在住)
【審査員コメント】
今年の審査員賞・川内有緒賞は福島県立あぶくま支援学校中学部3学年のみなさんの作品、全てです。この作品は、粘土でそれぞれ人形を作って、その後、それを学校の周りなどに配置して、写真を撮って作品にしています。それぞれのキャラクターと背景に映っているところがとても合っていて、1個の作品として見ていくのも面白いのですが、全体を通して見ていくと、さらに面白さが深まるような気がしました。そのため1点ではなく、全部の作品を入賞とさせてもらいました。
最初に注目したのは、《マリー・ミー!》という作品です。男性の方は少し戸惑ってるのかな。「どうしよう、そっか、結婚するのか…」みたいな感じもあるんですけど、この男性は、他の作品である《ただいま、全員集合!》などにも参加していて、何かのメンバーの1人なんだなと思いました。スポーツが好きな人、本が好きな人、料理が好きな人。それぞれがのびのび表現されていて、そして、一緒にいる作品もあります。想像を掻き立てる力がすごい作品だなと思って見ているうちに、いろいろと妄想しちゃって。そういう余白があって、あんまり説明しすぎてないところもいいと思うし、のびのびしたいい気持ちになれる素敵な作品だなと思い、選びました。
審査員賞・岡部兼芳賞

《私に入る言葉》
根本 京子(ねもと きょうこ)
62歳(いわき市在住)
【審査員コメント】
今年の審査員賞・岡部兼芳賞は根本京子さんの《私に入る言葉》です。何巡も展示を見て回ったんですけれども、その中で、この作品のタイトル《私に入る言葉》というところから惹きつけられて、じっくり見てみました。すると、いろいろな単語が並んでいます。根本さんが近くの人達の話の中で自分がきになった言葉を急いで書き留めていって、それが集積していったものだそうですが、その間に入っているイラストもみんな笑顔でカラフルで、とてもほんわかしています。それが根本さんがきになった言葉の、ワクワクするような気持ちと重なっているのかなと感じながら拝見しました。
根本さんはめったにお話ししないそうなんですが、お話しする時は、吸った呼吸でお話しするそうです。吸いながらお話しするのは、なかなか聞き取りも難しそうなのですが、作品から、そんな職員さんと根本さんのやり取りも想像されて、じわじわ胸にしみてくる作品だと感じ、岡部賞に選ばせていただきました。
第9回福島県障がい者芸術作品展 「きになる⇆ひょうげん 2025」審査結果
※ この他、開催期間中、来場者のみなさんに「きになる」作品に1票ずつご投票いただきます。1番得票の多かった作品を 「オーディエンス賞」として会期最終日に表彰する予定です。
[イベント]
・ギャラリートーク
2025年11月22日(土)14:00〜14:30
予約:不要
参加費:無料
・きになる⇆ひょうげん相談会
2025年11月22日(土)15:00〜16:00
定員:10名(要予約・先着順)
参加費:無料
応募者の方を中心に参加者を募り相談会を開催します。日々の創作についての想いや悩んでいることを集まった方々とみんなで語り合う時間にできればと思います。
・きになる本田正さんの制作ワークショップ
2025年12月6日(土)14:00〜15:30
講師:本田正(アーティスト)
定員:8名(要予約・先着順)
参加費:1000円(画材費込)
本公募展の1回目から応募している本田さん。過去には福島県知事賞、きになる⇆ひょうげん賞も受賞しています。そんな本田さんの作品は色使いや形が特徴的です。
そんな本田さんの制作スタイルで一緒に制作してみましょう。
・トークイベント「きになる”審査員の見方”」(オンライン開催)
2025年12月13日(土)19:00〜20:30
登壇:日比野克彦、川延安直、川内有緒、岡部兼芳
4名の審査員の方々に今回の応募作品のエピソードや受賞作品、各審査員賞の作品について、それぞれ今年きになったことを審査講評も交えてお話いただきます
・トークイベント「きになるBLUEの寄り添い方」(オンライン開催)
2025年12月20日(土)17:30〜19:00
ゲスト:伊藤 愛(NPO法人BLUE代表理事)
聞き手:小林竜也(はじまりの美術館)
愛知県みよし市で活動するNPO法人BLUEは、「好きなことを好きなだけ続けられる場所」として、毎月1回表現活動のようなことができる場を開いています。
今回はNPO法人BLUEの代表理事である伊藤さんをお招きし、日々の活動やそこに集まるメンバー、そしてそこから生まれる作品についてなどお伺いします。
イベント詳細
・表彰式、受賞者トーク
2026年1月18日(日)14:00〜15:00
※「きになる⇆ひょうげん相談会」、「きになる本田正さんの制作ワークショップ」参加ご希望の方は、はじまりの美術館まで、電話(0242-62-3454)または、メール(otoiawase@hajimari-ac.com)にてお申し込みください。
メールで申し込みの際には下記をご記入ください。
1、参加希望のイベント名
2、参加者の名前
3、年齢
4、メールアドレス
5、連絡先(携帯電話番号)
6、参加しようと思った理由
7、配慮してほしいことなど(あれば)
※定員に達し次第、申し込みを締め切らせていただきます。
[オーディエンス賞について]
ご来場いただいた方の投票でオーディエンス賞が決まります。
会場に「きになる木」を設置しますので、あなたが1番きになった作品を葉っぱに書いて投票してください!
[審査員紹介]

日比野 克彦(ひびの かつひこ)
1958年岐阜県生まれ。東京藝術大学に在学していた80年代前半より作家活動を開始し、社会メディアとアート活動を融合する表現領域の拡大に大きな注目が集まる。1995年ヴェネチア・ビエンナーレ日本館に参加。領域を横断する多彩な活動を展開。地域の場の特性を生かしたワークショップ、アートプロジェクトを継続的に発信。現在、岐阜県美術館、熊本市現代美術館にて館長、母校である東京藝術大学にて1995年から教育研究活動、2022年から学長を務め、芸術未来研究場を立ち上げ、現代に於けるアートの更なる可能性を追求し、企業、自治体との連携なども積極的に行い、「アートは生きる力」を研究、実践し続けている。

川延安直(かわのべ やすなお)
福島県立博物館 専門員。1961年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術学修士修了。岡山県立美術館を経て、現在福島県立博物館専門員。「福島芸術計画×ART SUPPORT TOHOKU-TOKYO」や「ライフミュージアムネットワーク」など、福島県内のさまざまな文化発信活動に携わっている。

川内有緒(かわうち ありお)
ノンフィクション作家。アメリカ、フランス、日本を転々としながら12年間国際協力分野で働いた後に、フリーランスの物書きに。評伝、旅行記、エッセイなどを執筆し、著作に『パリでメシを食う。』『空をゆく巨人』『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』ほか。

岡部兼芳(おかべ たかよし)
社会福祉法人安積愛育園 理事・マネージャー/はじまりの美術館館長。1974年福島県生まれ。福祉作業所の支援員・中学校教員を経て、2003年社会福祉法人安積愛育園に入職。知的に障害のある利用者の創作活動支援プロジェクト「unico(ウーニコ)」に携わる。2014年はじまりの美術館開館より現職。
主催:福島県

本事業に関するお問い合わせ:
社会福祉法人安積愛育園 はじまりの美術館
〒969-3122
福島県耶麻郡猪苗代町新町4873
TEL:0242-62-3454
FAX:0242-23-8185
E-mail:otoiawase@hajimari-ac.com
会場へのアクセス:
はじまりの美術館
〒969-3122
福島県耶麻郡猪苗代町新町4873
猪苗代駅より徒歩25 分、タクシーで5 分。猪苗代磐梯高原IC より車で一般道12 分。バスの方は、JR猪苗代駅バス乗り場より、裏磐梯方面行きまたは中ノ沢方面行きの会津バスに乗車→「バスセンター」下車(徒歩3分)。
会津バスの時刻表や詳細は、ホームページよりご覧ください。
会津バス時刻表
駐車場は美術館西側に15台。
冬季は美術館東側は積雪のため入館・駐車ができないためご注意ください。
初めてご来館の方はこちらもご覧ください。
【はじめてご来館いただく方へ】はじまりの美術館駐車場について
